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新規開業の準備

 新規開業の際には、事業の成功を支えるために様々な準備が必要です。知財面を含めた主要な事項を以下にまとめました。
1. ビジネスプランの作成
 • 市場調査: ターゲット市場、競合他社、ニーズを調査し、競争優位を確認する。
 • 資金計画: 資金調達の方法(銀行融資、投資家など)や初期投資、ランニングコストを計画。
 • 事業の目標設定: 短期・中期・長期の目標と、それに基づく戦略を策定。
2. 法的手続き
 • 会社設立: 法人(株式会社、合同会社など)または個人事業主としての登記。
 • 税務手続き: 税務署への開業届や、法人の場合は法人税の申告手続き。
 • 許認可の取得: 特定の業種に必要な許認可を確認し、適切に取得する(例:飲食業、医療業など)。
3. 知的財産(知財)に関する準備
 • 商標登録: ビジネスの名称、ロゴ、スローガンなどが他者に使用されないように商標登録を検討。商標は商品 やサービスのブランド価値を保護するために重要。
 • 特許・実用新案: 独自の技術やアイデアがある場合、特許または実用新案として保護する。これにより、他者 が同様の製品を製造・販売することを防ぐことが可能。
 • 著作権: コンテンツやデザイン、ウェブサイトの文章や画像など、著作物の保護を検討。ウェブサイトやマー ケティング資料は著作権で保護される可能性がある。
 • ドメイン取得: ウェブサイトを展開する予定であれば、ビジネスに適したドメイン名を早期に取得。ドメイン 名もブランド戦略の一環として考慮する。
4. 契約の整備
 • 業務提携や取引先との契約書: 他企業や取引先と事業を進める場合、明確な契約書を用意し、権利と義務を文 書化する。
 • 労働契約書: 従業員を雇用する際には、雇用条件を明確にした契約書を作成する。また、コンプライアンスの 遵守も忘れずに。
5. インフラ・オペレーションの整備
 • ITインフラの構築: ウェブサイトやメールシステム、業務管理システムなどの設置・導入を検討。
 • 事業所の確保: オフィスや店舗の立地を決定し、必要な備品・設備を整える。
 • 保険加入: 事業に必要な保険(損害保険、賠償責任保険など)を検討し、適切なものに加入。
6. マーケティングとプロモーション
 • ブランディング戦略: ブランドイメージやターゲット顧客に向けたメッセージを明確にし、ロゴやスローガン を策定。
 • ウェブ・SNS活用: ウェブサイトやSNSを活用し、顧客との接点を増やす。広告やPR活動も検討する。
7. 資金調達と資金管理
 • 融資や補助金の活用: 新規開業支援のための公的資金や補助金の申請を検討。特に、政府や自治体が提供する 中小企業向けの補助金・助成金がある場合は、それを活用する。
 • 会計システムの導入: 確定申告や決算のための会計システムを導入し、適切な財務管理を行う。

 知財面では、早期に商標や特許の保護を行い、ブランドや技術の価値を守ることが重要です。特に、競合が存在する場合は、法的に自社の権利を守る準備を怠らないようにしましょう。

 

 弁理士矢口和彦事務所&株式会社経営知財研究所では、開業から事業承継まで、中小企業の支援をトータルで行っています。ご相談はお早めに。

2024年09月15日

AIに「商標リース」について聞いてみました

 ChatGPTとGemininiに「商標リース」について聞いてみました。ChatGPTは、無料版のGPT-3.5は2022年1月まで、有料版のGPT-4は2023年12月までのデータを学習していますが、いずれも「商標リース」サービス開始前なので当社の「商標リース」はない前提での回答です。一方、Geminiの回答は「商標リース」がある前提ですが、事務機器など有体物のリースと混同した説明となっています。当てはまる点もありますが、不正確な記述も含まれています。

 AIはこれからますます利用価値が高まってくると期待されています。あくまで道具ですので過信しないことが大切です。ビジネス上の課題は、専門家に相談することをお薦めします。

 ちなみに、「商標リース」と有体物のリースとの違いについては、「商標リース」の「よくある質問」に記載しています。

 

ChatGPTによる回答

 「商標リース」という概念は、商標自体を「リース(賃貸)」することを指しているわけではありません。一般的には商標は一度登録すれば、その権利は所有者に属し、リースのように期限付きで貸し出すという形式では取り扱われません。
 ただし、いくつか関連するビジネス手法や契約形態があり、それが「商標リース」と混同されることがあります。それらを以下にまとめました。
 
1. 商標のライセンス契約
商標リースに類似する概念として「商標のライセンス契約」があります。これは、商標権を持っている企業や個人が、その商標を他の企業や個人に使用させるための契約です。商標のライセンス契約では、商標の所有権はライセンサー(商標権者)が保持したまま、ライセンシー(使用許諾者)が使用権を得るという形です。
*例*: ブランドや製品名を他社に使用させる代わりにライセンス料を受け取る。たとえば、人気のキャラクターやロゴを他の企業が使用する際にライセンス契約を結びます。
*メリット*: 商標権を持っている側(ライセンサー)は、商標を活用してライセンス料を得られ、ライセンシー側は著名な商標を使うことでブランド価値や信頼性を得られる。
*デメリット*: 商標の使用に制約がかかる場合がある。また、ライセンス契約が終了すれば商標を使用できなくなるため、長期的なブランド戦略に影響する可能性があります。

2. フランチャイズ契約
 商標リースに似た形態として、**フランチャイズ契約**も挙げられます。フランチャイズ契約では、商標権を持つ企業(フランチャイザー)が、その商標やブランド、ビジネスモデルを他の企業や個人(フランチャイジー)に提供し、その対価としてフランチャイズ料を受け取ります。
*例*: 大手飲食チェーンなどが、自社の商標やブランド名、ビジネスノウハウを使用する許可を他者に与え、フランチャイズ店舗を展開します。
*メリット*: フランチャイジーは確立された商標やブランドを活用できるため、初期から高い知名度を持ったビジネス展開が可能。フランチャイザー側もロイヤリティ収入が得られます。
*デメリット*: フランチャイジーには商標の使用方法に厳格な制限がある場合が多く、自由度が低い場合があります。また、商標使用権はフランチャイズ契約が終了すれば失われます。

3. 商標権の一部譲渡(サブライセンス)
 商標リースに最も近い形態として考えられるのが、商標権の一部譲渡や**サブライセンス契約**です。これは、商標を使用する権利を特定の期間や条件で他者に貸し出すという形式です。ライセンス契約の一種であり、商標の所有権は移転せず、使用権のみが第三者に与えられます。
*例*: 製造業者がある商標をライセンス契約で他者に貸し出し、そのブランドで製品を販売する許可を得るが、商標権自体は最終的には元の所有者に戻る。
*メリット*: 商標権者にとっては収益化の手段となり、他者は既に認知された商標を活用できるというメリットがあります。
*デメリット*: 期間や使用範囲が限定されるため、商標使用の自由度が低くなることがあり、また契約が終了すれば使用権は失われます。

4. リースによる商標登録手続きのサポート
 「商標リース」という言葉が誤って使われることもありますが、それは商標登録手続きを分割払いでサポートするサービスを指していることが多いです。これは、商標出願手続きにかかる費用を分割して支払うことで、初期費用を抑える形態です。
*例*: 知的財産を管理する企業が、商標出願の費用を月々の分割払いで対応することで、小規模事業者や新規起業家が商標権を取得しやすくする。
*メリット*: 商標登録手続きの費用負担を軽減し、初期投資を抑えながら商標を取得できる。
*デメリット*: 分割払いのため、総額としては割高になる場合があることや、金利や手数料が加算される可能性がある。
5. **レンタルブランド(ライセンスブランド)
 一部の企業では、特定の期間限定で商標やブランドを「レンタル」するビジネスモデルも存在します。これにより、小規模企業やスタートアップが短期的に著名な商標を利用して、マーケティングや製品の認知度向上を図ることができます。
*例*: イベントやプロモーション期間中に限り、特定の商標やロゴを使用するために契約を結ぶケース。
*メリット*: 短期的に強力なブランド力を借りることで、プロモーションや販売において競争力を高められます。
*デメリット*: 長期的には商標を維持できないため、期間終了後は自社ブランドへの依存に戻る必要があります。
まとめ
  「商標リース自体は存在しない」ものの、「ライセンス契約」や「フランチャイズ契約」など、商標を他者に貸し出す形式はあります。
  「商標出願費用を分割で支払うサービス」や「レンタルブランド」なども、初期費用を抑えつつ商標を活用する方法として利用可能です。
 小規模事業者やスタートアップは、商標をリース的に利用できるビジネス手法を活用することで、コストを抑えつつブランド価値を最大化することが可能です。
 具体的な商標利用の方法や契約形態は、事業のニーズに合わせて選択するのが重要です。

 

Geminiによる回答

 商標リースについて詳しく解説します
 商標リースとは、簡単に言うと、すでに登録されている商標の使用権を、一定期間、対価を支払って借りるようなイメージのサービスです。
商標リースの仕組み
1. 商標所有者: 既に商標登録をしている企業などが、自社で利用していない商標の使用権を、他社に貸し出します。
2. 利用者: 商標を使用したい企業が、商標所有者から使用権を借り、自社の商品やサービスにその商標を使用します。
3. 契約: 両者間で、使用期間、使用範囲、対価などが定められた契約を締結します。
商標リースのメリット
• 短期間での商標利用: 新規事業を始める際、すぐに使える商標を手に入れることができます。
• 費用を抑えられる: 自ら商標を出願し、登録するよりも、費用を抑えることができます。
• リスクの分散: 商標登録には審査期間や費用がかかりますが、リースであれば、そのリスクを分散できます。
商標リースのデメリット
• 自由度の制限: 商標の使用範囲や期間などが契約で定められており、自由な使い方ができない場合があります。
• 商標の安定性: リース契約が終了すると、商標の使用ができなくなるため、長期的なブランド構築には不向きな場合があります。
• 権利の帰属: 商標の所有権は、あくまで商標所有者に帰属します。
商標リースの注意点
• 契約内容の確認: 契約内容をしっかりと確認し、特に使用範囲や期間、対価について、不明な点は必ず質問しましょう。
• 商標の評価: リースする商標が、自社の商品やサービスに適しているか、慎重に評価しましょう。
• 競合との関係: リースした商標が、競合他社の商標と類似している場合、トラブルに発展する可能性があります。
商標リースの活用例
• 新規事業の立ち上げ: 新規事業を始める際に、すぐに使える商標が必要な場合。
• 期間限定のキャンペーン: 特定の期間だけ、特別な商標を使用したい場合。
• 海外展開: 海外で商標登録が難しい場合、現地で既に登録されている商標をリースする場合。
まとめ
商標リースは、初期費用を抑えて、短期間で商標を利用したい場合に有効な手段です。しかし、契約内容やリスクなど、注意すべき点も多いため、専門家にご相談の上、慎重に判断することが重要です。
商標リースを検討されている場合は、以下の点についてご自身で調べてみることをおすすめします。
• 商標リースを提供している企業: 複数の企業を比較検討し、自分に合ったサービスを選びましょう。
• 契約内容: 契約書の内容をしっかりと理解し、不明な点は弁護士などに相談しましょう。
• 商標の価値: リースする商標の価値をしっかりと評価しましょう。
よくある質問
• 商標リースの費用はどのくらいですか?
o 費用は、商標の知名度やリース期間などによって異なります。月額制や年額制など、様々な料金体系があります。
• 商標リースの期間はどのくらいですか?
o 期間は、契約によって異なります。数ヶ月から数年単位の契約が一般的です。
• 商標リースの契約を途中で解約することはできますか?
o 契約内容によって異なりますが、解約する場合には違約金が発生することがあります。
最後に
商標リースは、まだ新しいサービスであり、メリットだけでなくデメリットも存在します。ご自身の事業状況や目的に合わせて、慎重に検討することをおすすめします。
もし、具体的な商標についてお悩みのことがあれば、お気軽にご質問ください。
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商標に関する専門家にご相談いただくことも、より確実な情報を得る上でおすすめです。
この情報が、あなたの商標に関するお悩み解決の一助となれば幸いです。


2024年09月13日

登録商標の更新申請について

登録商標の更新登録とは?

登録商標とは、自分の商品やサービスを他社と区別するための「名前」のようなものです。この登録商標の権利は、原則として10年が限度です。この権利を使い続けたい場合は、10年ごとに更新手続きを行う必要があります。この手続きを「更新登録申請」といいます。

なぜ更新登録が必要なの?

• 権利の維持: 更新手続きを行わないと、商標権が消滅してしまい、他の会社が同じ商標を使用できるようになってしまいます。
• 独占使用権の継続: 更新することで、引き続き自社製品やサービスにだけその商標を使用する権利を独占できます。

更新登録の手続きは?

1. 申請期間: 商標権の満了の6ヶ月前から満了日までに行う必要があります。
2. 申請書の作成: 特許庁のホームページから申請書をダウンロードし、必要事項を記入します。
3. 手数料の納付: 申請と同時に、所定の手数料を納付します。
4. 特許庁への提出: 申請書と手数料を特許庁に提出します。

更新登録を怠るとどうなる?

• 商標権の消滅: 更新の手続きを怠ると、商標権が消滅し、他の会社が同じ商標を使用できるようになります。
• ブランド力の低下: 自社製品やサービスのブランド力が低下する可能性があります。
• 法律上のトラブル: 他の会社と商標に関するトラブルに巻き込まれる可能性があります。

更新登録をスムーズに行うために

• 満期日の管理: 商標権の満期日を事前に把握し、余裕をもって手続きを進めることが大切です。
• 専門家への相談: 商標に関する専門家(弁理士)に相談することで、より確実な手続きを行うことができます。

まとめ

登録商標の更新登録は、自社のブランドを守るために非常に重要な手続きです。更新手続きを怠ると、せっかく築き上げてきたブランド価値を失ってしまう可能性があります。
専門家(弁理士)にご相談いただくことをおすすめします。


2024年09月09日

商標権取得の意義

中小企業経営者の方へ:

  商標権を取得することは、中小企業にとって、自社のブランドを保護し、事業を安定的に成長させる上で非常に重要なことです。ここでは、商標の機能や、取得しない場合のリスクなどについて、わかりやすくご説明します。

商標の機能とは?

 商標とは、商品やサービスの原産地、品質などを表示し、他の事業者の商品やサービスと区別するための標識です。企業のロゴ、商品名、スローガンなどがこれに当たります。 商標は、以下の3つの重要な機能を持っています。

  識別機能:

 自社の商品やサービスを他の企業のものと明確に区別し、消費者に認識させる。

  保証機能:

 特定の品質やサービスレベルを保証し、消費者の信頼を得る。

  広告機能:

 商品やサービスに関する情報を消費者に伝達し、購買意欲を高める。

商標権を取得するメリット

 商標権を取得すると、以下のメリットが得られます。 独占使用権の獲得: 登録した商標を独占的に使用できるため、他社による無断使用を防止できます。 ブランド保護: 自社のブランドを保護し、企業イメージの向上に貢献します。 無形資産の創出: 商標権は、企業の重要な無形資産となります。 ライセンスによる収益: 商標の使用を許可するライセンス契約を締結することで、新たな収益源となる可能性があります。 事業拡大の基盤: 商標権は、フランチャイズ展開や海外進出など、事業拡大の基盤となります。

商標権を取得しない場合のリスク

  商標権を取得せずに事業を行っていると、以下のリスクがあります。 模倣品の横行: 他社が自社の商品やサービスを模倣し、顧客を奪われる可能性があります。 ブランド力の低下: 模倣品によって、自社のブランドイメージが損なわれる可能性があります。 法的紛争: 商標に関する紛争に巻き込まれ、時間や費用が無駄になる可能性があります。 事業拡大の阻害: 商標権がないことで、事業拡大の機会を逃す可能性があります。

中小企業にとって商標権が重要な理由

 中小企業は、大企業に比べて資金力や人材が限られているため、自社のブランドを確立し、競合他社との差別化を図ることが重要です。商標権を取得することで、自社のブランドを保護し、事業を安定的に成長させることができます。

まとめ

 商標権は、中小企業にとって、自社のブランドを保護し、事業を安定的に成長させる上で非常に重要な資産です。商標権を取得することで、模倣品による被害を防ぎ、ブランド力を高め、事業拡大の基盤を築くことができます。 商標登録は、専門知識が必要な手続きです。 商標に関する専門家にご相談いただき、適切な手続きを進めることをおすすめします。

 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

2024年09月06日

AIが作成した文書の著作権

代表的な「対話型生成AI」3つ、すなわち、ChatGPT/Google Gemini/Microsoft COPILOTに、「【AIが作成した文書の著作権】について、わが国の著作権法や判例などを挙げながら現行法制とあるべき姿について5000字程度で記述してください。」依頼したところ、下記文章を返してくれました。

まず、記載量については、お題が「5000字程度」に対して、ChatGPT:(1877字=37.54%)とGoogle Gemini:1684字=33.68%)ですので、試験であれば不合格レベルです。
Microsoft COPILOT(763字)は5000字はNGとのことで、「5000文字程度で」を削除して再依頼したところ下記文書を作成しました。正直にできないというところが長所ですが、試験ならば受験しなかったのでやはり不合格です。
内容については、いずれも、AIが作成した文書に著作権はないことを認めているので、そのまま全文を掲載します。大筋で大きな誤りはなさそうです。

 



ChatGPT 4omini

はじめに
AI(人工知能)が生成するコンテンツの著作権に関する問題は、急速な技術革新とともにますます重要になっています。特に、AIが生成した文書や画像、音楽などの作品が、著作権法上どのように扱われるべきかは、法制度の枠組みや判例によって変わる可能性があります。ここでは、日本の著作権法および関連する判例を基に、現行法制とあるべき姿について考察します。
1. 現行法制における著作権
1.1 著作権法の基本原則
日本の著作権法(以下、著作権法)は、著作物の創作者に対して一定の権利を付与することを目的としています。著作権は、著作物が創作された時点で自動的に発生し、創作者に著作権を与えることで、創作活動を保護し促進する役割を担っています。
著作権法第2条第1項では、著作物として認められるのは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています。つまり、単なるアイデアやデータそのものは著作権の対象とはならず、その表現に対して権利が認められます。
1.2 AIによる著作物生成の現状
AI技術の発展により、AIが生成するコンテンツの著作権問題が浮上しています。AIが生成するテキスト、画像、音楽などが著作権の対象になるかについては、現行法では明確な規定が存在しません。著作権法は主に人間による創作を前提としており、AIが創作した場合の扱いについては不明確です。
2. 現行法制に基づくAI生成物の著作権の問題
2.1 著作権法の適用範囲
現行の著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」とされていますが、AIが生成したコンテンツに対してはこの基準が適用されるかどうかが問題です。AIによる創作は人間の意志や感情に基づかないため、従来の基準に適合しない可能性があります。
2.2 判例と学説の動向
これまでの日本の判例では、著作物の創作者は基本的に人間とされてきました。AIが生成した作品に関して、著作権が誰に帰属するかについての具体的な判例はまだ存在しませんが、類似のケースとしては以下のようなものがあります。
著作権法第15条第1項: 創作物の著作権は「著作者に帰属する」と規定されていますが、AIは著作者として認められないため、AIが生成した作品に対する権利が誰に帰属するかが問題となります。
AIによる作品の事例: 例えば、AIが生成したアート作品や音楽について、著作権が「利用者」や「AIのプログラマー」に帰属するのか、それとも著作権の対象としないのかが議論されています。
3. 現行法制の問題点と課題
3.1 著作権の主体の不明確さ
AIが生成するコンテンツに対して、現行の著作権法では著作権の主体が不明確です。著作権法は著作者が人間であることを前提としているため、AIが関与する場合、法的に誰が権利を持つかが定義されていません。
3.2 権利の帰属の問題
AIの開発者、プログラマー、ユーザーなど、AIによって生成された作品に対する権利の帰属が問題となります。特に、AIの開発者とユーザーの間で著作権がどのように分配されるべきかについては明確な規定がありません。
3.3 著作権の行使と保護
AI生成物が著作権の保護対象になる場合、その権利をどのように行使するかが問題です。例えば、AIによって生成されたコンテンツに対する権利侵害が発生した場合、どのように対処すべきかが明確でないため、法的な整備が求められます。
4. あるべき法制の提案
4.1 AI著作物に関する法的枠組みの整備
AIが生成するコンテンツに対しても著作権を認めるか、または新たな権利制度を設けることが求められます。例えば、AIが生成した作品に対する「AI生成権」を設けることで、権利の主体を明確にすることが考えられます。
4.2 権利の帰属に関するルールの設定
AI生成物に対する権利の帰属について、AIの開発者、プログラマー、ユーザーなどの関係者の間でどのように分配するかを明確にするルールが必要です。これにより、権利の不明確さを解消し、関係者間の争いを防ぐことができます。
4.3 利用規約の明確化
AIによって生成されたコンテンツの利用に関して、事前に利用規約や契約を明確にしておくことが重要です。利用規約において、著作権の帰属や利用条件を具体的に示すことで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
5. 結論
AI技術の進展により、著作権法の適用範囲や著作権の主体について新たな検討が必要とされています。現行法制では、AI生成物に対する著作権の取り扱いが不明確であり、著作権法の改正や新たな法的枠組みの整備が求められています。今後の法整備によって、AIが生成したコンテンツについても適切に著作権を保護し、創作活動を支える環境が整備されることが望まれます。

Google Gemini
はじめに
生成AIの急速な発展に伴い、AIが作成した文章や画像などの著作権に関する問題が、法学界や実務界において活発に議論されるようになりました。本稿では、日本の著作権法を基に、AIが作成した文書の著作権に関する現行法制を整理し、その問題点を明らかにするとともに、あるべき姿について考察します。
現行著作権法におけるAI生成物の取扱い
日本の著作権法は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」を著作物と定義しています(著作権法第2条)。従来、著作物は人間の創造的な営為によって生み出されるものとされてきましたが、AIが高度化するにつれて、AIが生成したものが果たして著作物に該当するのかという疑問が生じています。
現行法において、AI生成物の著作権に関する明確な規定はありません。そのため、個々のケースにおいて、AIがどの程度創作的な関与を行ったのか、人間の関与がどの程度あったのかなど、具体的な事実関係を総合的に判断して、著作物に該当するかどうかを判断することになります。

AI生成物の著作権に関する問題点
AI生成物の著作権に関する主な問題点を以下に挙げます。
著作物性の判断の困難さ: AIが生成したものが、単なるデータの組み合わせなのか、それとも人間の創作性を伴う表現なのかを判断することが困難です。
著作権帰属の不明確さ: AIが生成した著作物の著作権が、AIの開発者に帰属するのか、それともAIの利用者に帰属するのかが明確ではありません。
既存著作物の利用との関係: AIが学習データとして既存の著作物を利用する場合、それが著作権侵害に該当するのかどうかが問題となります。
現行法制における課題と改善点
現行の著作権法は、AI生成物の著作権に関する問題に対応するために、以下の点で改善が必要と考えられます。

AI生成物の定義: AI生成物を著作物として明確に定義する必要があります。
著作権帰属の規定: AI生成物の著作権の帰属に関する明確な規定を設ける必要があります。
既存著作物の利用に関する規定: AIが学習データとして既存の著作物を利用する場合のルールを明確にする必要があります。
AI生成物の利用に関する制限: AI生成物の無制限な利用を防止するための制限規定を設ける必要があります。
あるべき姿
AI生成物の著作権に関するあるべき姿として、以下のような考え方が考えられます。

AI生成物を新たな著作物として認める: AI生成物を、人間が創作した著作物と同様に、新たな著作物として認めるべきです。
著作権の帰属を柔軟に判断: AI生成物の著作権の帰属は、個々のケースにおけるAIの関与の程度や人間の関与の程度を総合的に判断して、柔軟に決定すべきです。
既存著作物の利用を促進するためのルール作り: AIが学習データとして既存の著作物を利用することを促進するための、合理的なルール作りが必要です。
AI生成物の利用による損害に対する救済措置: AI生成物の利用によって生じた損害に対する、適切な救済措置を設ける必要があります。
結論
AI生成物の著作権に関する問題は、技術の進歩に伴い、ますます複雑化していくことが予想されます。現行の著作権法は、この新たな課題に対応するために、抜本的な見直しが必要となります。
AI生成物の著作権に関する法整備は、AIの技術革新を促進するとともに、著作権者の権利を保護し、利用者の利益を確保するためにも不可欠です。今後、法学界、実務界、そして政府が協力して、AI生成物の著作権に関する適切な法制度を構築していく必要があります。

今後の展望
AI生成物の著作権に関する議論は、まだ始まったばかりです。今後、AI技術のさらなる発展や、AI生成物を巡る様々な事例の発生を通じて、法解釈や法制度は大きく変化していく可能性があります。

本稿では、AI生成物の著作権に関する現行法制の問題点と、あるべき姿について概観しました。しかし、この分野は非常に複雑であり、一つの結論を出すことは困難です。
今後、AI生成物の著作権に関する議論は、より深化していくことが予想されます。私たちは、この問題に常に注意を払い、社会全体の利益に貢献できるような法制度の構築を目指していく必要があります。

Microsoft COPILOT
日本における「AIが作成した文書の著作権」について、現行の著作権法や判例を踏まえて説明します。

現行法制
日本の著作権法では、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義されています(著作権法第2条第1項第1号)。このため、AIが生成した文書や画像は、AI自体が思想や感情を持たないため、基本的には著作物として認められないとされています12。
また、AIの学習データとしての著作物利用については、平成30年の著作権法改正により導入された第30条の4に基づき、広く許容されています3。これにより、AIの開発や学習におけるデータ利用が著作権侵害とならないように配慮されています。

判例
現時点では、AIが生成した文書や画像に関する具体的な判例や裁判例は蓄積されていません4。しかし、文化庁の「AIと著作権に関する考え方」では、生成AIと著作権の関係についての基本的な考え方が示されています5。

あるべき姿
今後の法制においては、以下の点が考慮されるべきです:
生成物の著作物性の再評価:AIが生成した文書や画像が、どのような条件下で著作物として認められるかを再評価する必要があります。
権利者の保護:AIを利用して生成されたコンテンツに対する権利者の保護を強化し、適切な権利行使ができるようにすることが重要です。
国際的な調和:他国の法制や判例を参考にしながら、国際的な調和を図ることが求められます。
これらの点を踏まえ、AI技術の進展に対応した柔軟な法制度の整備が必要です。
もしさらに詳しい情報が必要であれば、文化庁の公式サイト5や関連資料を参照してください。

2024年08月29日

商標の商品役務(サービス)の「区分」と「区分数」

 商標登録出願する場合、同じ区分(類の番号が同じ)ならいくつ記載しても1区分として料金は変わりません。一方、複数の区分を記載すると、その区分の数に応じて料金がかかります。
 例えば、コーヒー関連の商品について「DEF」という商標(マーク)を出願するとき、区分に「コーヒーカップ」と「コーヒーサーバー」の2つを記載しても、双方とも第21類なので1区分です。「挽いたコーヒー豆」「コーヒー飲料」「エスプレッソ飲料」の3つを記載しても全て第30類なので1区分です。
 一方、「コーヒー牛乳」(第29類)、「コーヒー飲料」(第30類)、「コーヒー入り清涼飲料」(第32類)、「コーヒーショップにおける飲食物の提供」(第43類)を記載すると4区分となります。

 


  商品名・役務名(サービス名)の例            区 分


  コーヒーカップ、コーヒーサーバー、、、          第21類
  コーヒー牛乳、、、                   第29類
  挽いたコーヒー豆、コーヒー飲料、エスプレッソ飲料、、、 第30類
  コーヒー入り清涼飲料、、、               第32類
  コーヒー風味のアルコール飲料、、、           第33類
  コーヒーショップにおける飲食物の提供、、、       第43類



 出願の際に専門知識がないと、区分が間違っていたり、商品やサービスが不明瞭だったりして、特許庁から「登録をしない理由(拒絶理由)」の通知を受けます。拒絶を避けるため補正書を提出することもできますが、手間と時間が余分にかかります。スムーズに登録を受けるには、適切な区分を選択し、客観的に明確な正式名称にすることが大切です。
 当事務所では、費用対効果も踏まえ、貴社の状況に応じた柔軟な出願プランのご相談に応じます。

2024年06月01日

iPhoneの商標権はアイホン㈱が保有

 インターホンなどの製造販売会社であるアイホン株式会社は1955年から第9類などについて「アイホン」の登録商標を保有しています。

 一方、アップル社はiPhoneという商標を日本国特許庁に出願しましたが登録商標「アイホン」の存在を理由に拒絶されました。商標の類否は外観、称呼、観念で総合的に行うため、「iPhone」も「アイホン」も日本人には同じに聞こえるので、称呼が同一類似として登録されないのは、当然の結果です。

 そこでアップル社は、日本国内でiPhoneの商標を使用するために、アイホン株式会社にiPhoneの商標出願を依頼し同社が取得した商標権の使用ライセンスを受けています。アイホン株式会社の決算書などから、アップル社は年間1億5000万円の使用料を払っている模様です。

2024年06月01日

「六本木ヒルズ」<先使用権>

 六本木3丁目に4階建の賃貸マンション「六本木ヒルズ」があります。

 皆さんがご存知なのは6丁目の「六本木ヒルズ」ですね。
 森ビル株式会社は「六本木ヒルズ」の商標権※を保有しています。出願日は1999年12月12日。登録日は2001年1月12日で、更新を繰り返し権利は有効です。
 したがって第三者が「六本木ヒルズ」を許可なく使用して、不動産の貸与や建物の管理をする行為は、この商標権を侵害することとなり、差止・損害賠償の対象となります。
 しかし、六本木3丁目にある4階建賃貸マンションは、1998年11月の竣工時から「六本木ヒルズ」の名称を使用しているので、先使用権があり、森ビル株式会社は商標権侵害を主張できません。ただし、先使用権は使っていた範囲でしか効力がないため、第三者にライセンスしたり、事業の範囲を拡張したりすることはできません。
 また、先使用権の立証は難しいので、トラブル防止には商標権を取得しておくことをお奨めします。
※第4444643号
六本木ヒルズ(標準文字)
役務(サービス)区分第36類
指定役務
建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,ガス料金又は電気料金の徴収の代行
 ちなみに森ビル株式会社の開発した六本木6丁目の六本木ヒルズは2000年4月着工、2003年4月竣工。

2022年11月13日

商標パック料金制(出願~登録)

 多くの事務所は、手続きをするたびに費用がかかる伝統的な料金体系で、商標権取得までに様々な追加費用が発生し、トータル費用が分かりませんでた。

 お支払いが1回のみの定額パックを開始しました。

 社名パック:会社名・団体名などの商標権を取得するためのパックです。

 商品名・サービス名パック:製品やサービスの名称の商標権を取得するためのパックです。

2022年09月01日

意匠権と著作権について

 娘たちが使っている椅子は<トリップ トラップ(Tripp Trapp)>の真正品です。
 この椅子は北欧の子供用品メーカーのストッケ社が1972年から半世紀にわたり販売しています。
 例えば、コーヒーカップなど大量生産される日用品は意匠権で保護し、一品制作的な芸術品、茶道に用いる作家物の茶わんは著作権で保護。子供用の椅子は大量生産されるため意匠権で保護するのが「知財業界」の常識でした。
 ところがストッケ社は日本の家具メーカーを著作権侵害として提訴。一審の東京地裁は従来の常識に沿ってこの椅子は著作物ではないとして訴えを退けました。
 しかし二審の知財高裁は、意匠の保護対象を、著作物から除外するとの規定はないとして、この椅子が著作物であると判示しました。
 意匠権を保有していることは特許庁で謄本(1,100円)を取得すれば立証できます。一方、著作権は創作と同時に手続きなしで発生するため、自己の著作権は自ら主張立証しなければなりません。
 ストッケ社は「この椅子は2本脚で、部材Aと部材Bが66度の鋭角で・・・・・」と独創的なデザインであることを懸命に主張して著作物と認められました。しかし、被告の椅子は4本脚で、原告著作物と似ていないため侵害ではないと判断されました。平成26年(ネ)第10063号著作権侵害行為差止等請求控訴事件(平成27年4月14日判決)
 意匠権は取得に手間と費用が掛かりますが権利は堅固に保護されます。一方、著作権は手続きなしで発生しますが、いざ権利行使をするときに手間と費用がかかります。制度のメリット・デメリットを理解したうえで上手に活用したいものです。
 特に意匠登録制度は2020年4月に大幅に制度改正され、対象外だった「建築物の外観デザイン」や「内装」なども登録できるようになりました。関連意匠制度も変更され、存続期間が25年に延長されるなど大幅に変わっているのでご確認ください。

2021年09月06日